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「おはようございます。名前と今日の日付、病院名を教えてください」
朝7時頃。
看護師は、ICUの患者たちに挨拶をし、毎日同じ質問をする。入り口付近の患者から順に、部屋奥のベッドに寝ている私は、いつも最後だ。
「おはようございます。新月ゆきです。今日の日付は、8月23日。桜見晴大病院(※1)です」
病院名は忘れがちなのだけど、先に回答した患者の声を聞いていたので、間違えようがない。ほか、毎日質問されるので、いつしか質問される前に、回答するようになった。
一体、この応答はどのような意味があるんだろう?
【入浴】
私は、入院中の入浴が大好きだった。
3〜4日に一度の入浴。
コロナ禍のため入浴はできなかったけれど、シャワーを浴びることが出来た。看護師の補助はあったが、この入浴はリハビリを兼ねたものだと自覚があったので、基本自分で入浴作業を行う。
頭痛はある。
身体も弱っている。直立して、歩くと、頭痛は激しくなる。自分でひとり、歩くことがおぼつかない。左手を壁に添えながら歩き、椅子に座る。シャワーで、お湯を浴びる。
その途端、身体が喜んでいることがわかった。
頭痛が消えるような感覚。普段の生活で、入浴にここまで喜びを感じたことはない。心身共に生き返る。不思議な感覚。
一体、この感覚はなんだろう?
退院後、さまざまな入浴方法を試してみたが、この時の感覚を再現できない。私は、サウナが苦手でしたことがないのだけど、もしかしてサウナにあるんだろうか?
当時の入院生活の一部です。
今でも強く覚えていることは、毎日の反復、心身に何かしら印象深かった出来事です。
次回から、本編のコラムに戻りますね。
つづく
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