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「くも膜下出血は、2週間が山場です」

桜見晴大病院のICUで、よく聞いた言葉。
医師も看護師も、くも膜下出血で倒れた私に、そう言う。

だから、私は主治医に尋ねた。
「2週間が経てば、今の頭痛は治りますか?退院できますか?」
彼は答える。
「はい、何事もなければ」

2週間!
全てが解決する日数なんだ!

私は前向き思考だ。
2週間が私の希望になった。2週間が終われば、私は退院できる。頑張ろう!と思った。

リハビリを頑張ろう!
食事を頑張ろう!

私は起き上がると、嘔吐感を伴う頭痛がする。
この嘔吐感を無視し続けると、身体が震え始める。本音を言うと、リハビリも食事も頑張りたくなかった。だけど、頑張った。希望の気持ちの方が、ずっとずっと大きかったから。

退院し、元の生活に戻ること。
これが、私の希望。

くも膜下出血の発症から8日目。
私はICUの入院生活に慣れた。初期の頃と比較すると、頭痛も軽くなった。リハビリも、食事も順調だ。

看護師が、ICU内の患者の様子を確認している。いつも見ている風景。いつもと同じように、彼女は笑顔で、私に尋ねる。
「新月さん、点滴を替えますね。調子はどうですか?」

左腕の点滴が、少し痛い。
それを伝えようと、私は口を開く。

「あざみキwらくぁQキオ」

20231010


私の思考が止まる。
看護師は笑顔のまま、私に尋ねる。
「はい?なんですか?」

「…あざみキwらくぁQキオ」

私、おかしい。
看護師の表情から、笑顔が消えた。彼女は、さらに私に尋ねた。
「…もう一度お願いします」
私は言葉を噛み締めるように、ひとつひとつの言葉を丁寧に伝えた。

私が、伝えたい言葉は「左腕の点滴が痛いです」
そして、私の口から出てくる言葉は

「…あ、あざみキwらかぁ…Q」

私と看護師は見つめ合う。
彼女の表情は硬くなっていた。瞳と頬に緊張がある。

「言葉を話せなくなりましたか?」

看護師の質問に、私はこくりと頷いた。
今、私は話せない。だから、動作で伝えた。

ここで、はッと思い出す。
医師や看護師が、私に伝えていた言葉。

「くも膜下出血は、2週間が山場です」

■後日後


看護師の表情は、鮮明に覚えています。
漫画には、彼女の表情を描かなかったけれど、今も脳裏に焼き付いています。今日のコラムを書きながら、なぜこんなに覚えているんだろう?…と考えました。そして、気付きました。

おそらく、感情です。
当時の自分の感情と、看護師の表情が強く繋がったため、鮮明に覚えているんだろうな…と。

この後は漫画に描いていますが、改めて、明日のコラムに活字として残しますね。

つづく


▼▼▼ こちらの漫画をもとに、著者本人がコラムを書いています ▼▼▼


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